郷正助
「秘密の花園」
2024年11月1日(金) 〜 12月1日(土)開廊時間: 金-日 13:00 - 19:00
※開廊日以外のご来場をご希望の方はご連絡ください。
郷正助
1988 神奈川県生まれ、在住。武蔵野美術大学油絵コース卒業。
個展
2016 | 「へノヘノもへじ」 企画 成相肇 佐藤克久「何かは何か」展サブ企画(See Saw gallery + habit / 愛知) |
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2014 | 「太陽がいっぱい」(switch point / 東京) |
2012 | 「明日はしらない。」(switch point / 東京) |
2011 | 「あの星にいきたい」(switch point / 東京) |
グループ展
2024 | 「鳥とクジラ」(Alt_Medium / 東京) |
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2014 | 「because of sunshine !」(シャトー2F / 東京) |
2013 |
「imago mundi Luciano Benetton Collection」(ヴェネチア) 「闇に観る」(ギャラリー工房親 / 東京) |
2012 |
「blinde site」(MA2gallery / 東京) 「39advance」(ギャラリー工房親 / 東京) |
2010 | 「アウトレンジ2010」(文房堂ギャラリー / 東京) |
郷と始めて北アルプスに行ったときはガスであいにくの眺望だったが、高度2500mを越えたあたりでお花畑が広がった。二人で「自分たちは既に滑落してとっくに死んでいて、ここは天国なんじゃないだろうか」と話した。山に咲く小さな花は露ですこし項垂れながら、花粉を虫に運ばせていた。わたしたちは期待した眺望を得られなかったけれど、遠くを見るかわりに足元の草花の生き生きとした姿を見ることができた。わたしたちの視界を遮る霧もまた植物たちにとっては恵みだった。この小さな生命の営みは、この山の偉容のなかでどのくらいの間繰り広げられてきたのだろう。彼らにとってわたしたちが招かれざる客だったかどうか、知るよしもなかった。
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本展のタイトル「秘密の花園」はフランシス・ホジソン・バーネットの同名の小説(原題 The Secret Garden)から着想されている。バーネットは、孤児になったメアリーが打ち捨てられた庭を見つけ、庭を再生していくなかで、自らの生命力に目覚めていく様子を描きだしている。庭はメアリーにとって外からは知られることのない秘密の場所であると同時に、人知れず打ち捨てられ再生する自己自身の似姿でもあった。
庭はアトリエのアナロジーとしても機能する。画家は人知れず絵を描き、そこで紡ぎだされるものは、かならずしも画家の意のままになるわけでもない一つの有機体である。
天重誠二